中央アジアの旧ソ連構成国、カザフスタンで、燃料価格の値上げをめぐる抗議デモが全国規模の暴動に発展し、トカエフ同国大統領は5日、内閣総辞職を承認し、首都ヌルスルタンに非常事態宣言を発令した。デモ隊や治安部隊員ら計190人以上が負傷し、治安部隊員に死者も出ている。同国最大の都市アルマトイではデモ隊がトカエフ氏の自宅や市庁舎を占拠した。
トカエフ氏は5日にテレビ演説し、2019年まで約30年間にわたり同国に君臨したナザルバエフ前大統領が務める安全保障会議議長の役職を同日付で引き継いだと発表。「暴動には厳しく対処する」と述べた。
タス通信やロイター通信によると、カザフ政府は、自動車燃料などに使われる液化石油ガス(LPG)の価格統制が生産者に損失を与えているとして、今月1日から価格統制を撤廃。LPG価格は従来の約2倍となる1リットル当たり120テンゲ(約32円)に上昇し、2日から同国西部の都市などで抗議デモが発生した。デモは全国各地に波及した。
トカエフ氏は治安部隊を投入してデモ隊200人以上を拘束し、4日にアルマトイなどに約2週間の非常事態宣言を発令する一方、価格統制の再開を表明。しかしデモは収まらず、アルマトイでは5日までに約400の商業施設が被害を受け、30台以上の警察車両や救急車が燃やされた。
マミン内閣の総辞職に伴い、スマイロフ第1副首相が首相代行に就任した。(モスクワ 小野田雄一)
カザフ全土でデモ暴徒化 内閣総辞職 - 産経ニュース
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