
【香港=吉岡みゆき】香港の反体制活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)が施行されて6月30日で1年となった。中国共産党政権への批判で知られた香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)が廃刊に追い込まれるなど言論弾圧が進んでおり、「一国二制度」下にある香港で急速に自由が失われた。
香港政府によると、国安法違反容疑の逮捕者はこの1年で男女117人に上り、このうち64人が起訴された。6月24日に廃刊となった蘋果日報関係者や民主派政党・民主党の前主席らが含まれる。国安法の施行前は刑事事件で起訴後に推定無罪の原則から保釈されることが多かったが、国安法が適用された事案では、8割の被告が保釈を認められていない。
国安法違反容疑で逮捕後、保釈された著名民主活動家の周庭さん(24)は6月下旬、フェイスブックのアカウントを閉鎖した。起訴を回避するためとみられる。得意の日本語を生かして定評があった発信は、封印せざるを得ない状況だ。
言論界でも
6月23日、有力紙・明報などを舞台に25年以上執筆してきた著名な政治コラムニスト・蔡子強氏(56)が「政治評論を書いても何も変えられないとわかった」として突然、休筆宣言した。
蔡氏は民主派寄りの主張で知られ、批判の
国安法の影響は住民向けの公共サービスにも広がる。6月25日には、廃刊になった蘋果日報が公立図書館から撤去された。香港政府によると、公立図書館ではこの1年間、国安法に抵触しかねないと判断された民主活動家らの出版物を巡るサービスの停止は72件に上る。
政府ナンバー2の李家超・政務官は6月29日、中国中央テレビの取材に対し、「国安法施行1年で香港社会は落ち着きを取り戻してきた」と自賛した上で、「(国家安全上の)リスクは常にあるので取り締まりを強める」と述べた。
香港国安法施行1年、逮捕者117人・64人起訴…周庭さんはFBアカウント閉鎖 - 読売新聞
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